色選びから始めるコピック講座 第4回・実践編 『かおす本舗的着色指南・その3』 管理人:管理人が怠慢なせいで、大変不定期かつ長期に渡って連載されて参りましたこの講座も、これにてようやくファイナルになります。
テルゼ:本当に長かったですねぇ……
管理人:今回は残っている髪の着色から仕上げまで一気に紹介してしまうつもりなので、前置きはこのくらいにして早速本題に入りましょう。 いつもに増して写真の枚数が多いので、表示に少々お時間を頂く仕様のページになっているかと思いますが、どうかご了承下さいませ。
■髪の着色■
髪の流れを意識しながら色を置いていく。
下塗りが終わった状態
管理人:さて、この髪の毛というパーツを仕上げる作業工程こそ、ある意味『コピックスケッチ』という画材が最もその本領を発揮する箇所とも言えます。 多少、その人の絵柄に左右される部分はありますが、コミック系のイラストを描かれる多くの方は、髪の明るい部分と暗い部分のコントラストをはっきりさせることで、動きと立体感を表現される手法をとられるかと思いますので、そういった場合、スーパーブラシのニブを使って作業をすると、ちょうど筆ペンの要領で、不器用な人でも綺麗にツヤベタの『入り』と『抜き』が出来る為、とても手軽かつ効果的な表現が可能です。
管理人:二次元において、いわゆる『銀髪』にカテゴライズされる色調というのは、白から青・紫系を中心に、場合によっては緑系統までかなり幅が広い為、キャラクターや描き手の好みによっては、上の軽く色を置いた状態でも充分綺麗かと思います。実際その方がコピックの本数を揃えなくてもいいですし、作業時間も短縮できるのですが、一応ここでは相当塗り込んでいる服の質感とのバランスの兼ね合いもあるので、前回同様、更に塗りを重ねていきます。
管理人:最初にB41で基本の濃淡をつけた後は、B93で最初の影を髪の流れにそって描き込んでいき、更に最も濃いB45でアクセントを入れて立体感をつけたら、最後に全体を最も薄い色であるB41でさっと一塗りしてなじませます。 このあたりはもう本当に好き嫌いの世界になってしまうのですが、私自身は髪の塗りが全パーツで最も好きな箇所なので、しつこいほど塗りこんでいきます(そのおかげで男性でも描くのは長髪キャラばかりに……)。 なお『最後の一塗り』に関しては、私の場合、この後に控える仕上げ作業の際、ホワイトを別途入れる為に行いますが、ごく自然な形で仕上げたい方は、紙の白地を生かす形で光を表現するのも良いかと思います。
テルゼ:ここまでくるともうかなり完成に近づいた感じですね。
管理人:実際、『コピックの塗り方』としての解説はここまでの時点でもうほとんど終わりだったりします。残りの部分は純粋にこのイラストが最終的な形に仕上がるまでのメイキング風景になりますが、興味のある方は最後までお付き合い下さいませ。
■仕上げ■
光を最も強く弾いている部分にホワイトを入れます。
管理人:この一山を越えたらもうすぐ完成、という段階に入ってまいりました。ブログに載せる程度の落書きでしたら、これまでの工程の段階で作業を切り上げてしまう事もありますが、一枚絵の場合は、完成度を高めるのに更にもう一手間をかけると、俄然人の目を惹きつけるイラストになります。 まずは瞳のハイライト。これも描き手によっては予め塗り残して表現する場合もありますが、私の場合は後で上書きしています。 瞳に光が入ると、一気に人物に魂が入って絵が生き生きしてくる感じがするので、ハイライト入れは、イラストを描いていて最も楽しい瞬間の一つです。
テルゼ:あとは同様に、バランスを見て各パーツの最も明るい部分にホワイトを入れていく、そんな感じですか?
管理人:イエス。要領は髪の毛も金具部分もみんな同じ。で、そのホワイトを入れていくバランス感覚が、結果として画風の差になっていくわけですが。私は髪の毛をはじめ、入れておかしくない、と思える場所には、もうてっかてかにハイライトを入れるので、ちょっとクドイ絵柄かもしれません(汗)。 ちなみにここで私が『ホワイト』として使用している画材は、細部に入れるホワイト用にいわゆるミルキーペンの白、髪や金具部分、場合によっては背景処理など比較的広範囲に使うものに筆ポスカの白となっております。 コピック専用のホワイトとして、下の色が滲んでこない『オペークホワイト』というものもあるので、つけペンや面相筆が使える方は、そちらを使ってもいいでしょう。
テルゼ:何気に髪の毛と金具部分の筆ポスカを使ったハイライト部分は、華麗にスルーしていますね。
管理人:すいません……作業に夢中になり過ぎて、どうも写真を撮っておくのを忘れていたみたいです(汗)。 まあ、画材がボールペンから筆ペンに変わるだけで、作業内容自体は変わらないので、そのあたりはあまり深く突っ込まないでやって下さい。 そしてミルキーペンや筆ポスカで最も明るいハイライトを入れた後、その境界を馴染ませたり、布地などの光を強く反射しない部分のハイライトとして、白い色鉛筆がかなり使えます。 色鉛筆を最も使用した小学生時代は、『最も使えない色』の代表格だったのに、今ではこれだけバラ売りで購入するようになりましたからね。お道具箱に眠っていたものでも、いつ何時使えるようになるか分からないものです。
最後に潰れてしまった主線などをミリペンなどで描き起こしたら……
■完成■
管理人:ここに背景や効果の処理を加えて、オンライン上にアップしたものが、最終的に下のイラストになるわけです。
管理人:上の一通りの作業が終了した段階では、中の詰襟は白で仕上げましたが、出来上がったイラストを、近くから見たり遠くから見たり、上下逆さまにして見ているうちに、なんとなく『黒の方が画面がしまるし、銀髪が映えていいかな〜』と思えてきたので、上塗りして仕上げました。 今回のように、『最後の段階でちょっと塗り加える』程度だったらいいですが、アナログですと、最悪の場合は全部描き直しになったり、切り張りしたりする事も珍しくはありません。 まあ、その『やり直しがきかない緊張感』がまたアナログイラストの醍醐味とも言えますけどね。 それでは、これにて本当にこのメイキングも終了です。 拙い解説に長らくのお付き合いありがとうございました。(ぺこり)
テルゼ:作者の作業風景が、少しでも何かの参考になりましたら嬉しいです。ではでは。
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