色選びから始めるコピック講座 (※今回からは画像いっぱいでページが重いです……要注意) 第2回・実践編 『かおす本舗的着色指南・その1』 九月:初めましての方もそうでない方もこんにちは。 コピック使って早ウン年(以下中略)『かおす本舗』管理人・九月薫改め磯垣葵であります。 下準備の段階から長らく……本ッ当に長らくお待たせ致しました本講座ですが(滝汗)、ようやく具体的な手順をご説明する段階に入りました。 それでは前回までの流れはこちらを参考にして頂くとして、さくさく塗りに入りたいと思います。 今回、塗りのモデルをしてもらうのは、トップイラストにもなったこの人です。
カナート=フォルツン=アフラロイド(2Pカラーバージョン)
テルゼ:……なんでいつもの『3倍速そう』なノーマルカラーではなくて、わざわざ違う色指定を起こしたんですか?
管理人:いつぞやも話した事があるけれど、通常版のカナートはうちのオリジナルキャラの中でもおそらく最も着色に時間がかかる&仕上げの難易度が高いキャラだからだよ。 上にリンクを張ってあるノーマル版を仕上げた時に使用した色は、覚えているだけで30色以上(多分、32〜5色ぐらい)。おまけに応用技術である『画面上での混色』をしまくりで、『この色を揃えたら必ず描ける』というようなキャラじゃない。 段階ごとに逐一写真をとっていたら、50カット前後じゃ済まないよ(汗)……私自身の手間もさる事ながら、工程が複雑怪奇で初心者向けの講座じゃ説明仕切れないです。 そんなわけで、こちらでは特別に、それよりはずっと色の構成がシンプルであるダレフの使用カラーを転用して、仕上げまでを追ってみました。(ちなみに、ダレフは弟のカナートとは対照的に、オリキャラで最も描くのが楽な部類に入るキャラです。(単純に古株キャラの為、描き慣れているというのもありますが)
それではさっそくですが塗ってみましょう。 管理人:まずは色を塗る原画を用意します。↓
使用前(鉛筆画。汚くてすいません……)
テルゼ:……って、ちょっと待った!この線画完成までの工程をかっ飛ばして、いきなり塗りの説明から入るんですか!?
管理人:そりゃ……このページはあくまでも『コピック講座』であって、『作画講座』じゃないし。 仮に説明するとしても、ごくありきたりの内容が展開されるだけですよ? いわゆる『丸描いて十字線描いて……』の骨人間によるアタリ取りに始まり、そこから人物を肉付けしていった後、目元等の細部の描き込みをして、上の図に至る……と。 あと真っ当な絵描きさんなら、この後ちゃんとペン入れをするんですが、私は鉛筆で描いた線画をそのままコピー機に通して、機械に原画を作ってもらいます(つまりペン入れしない)。 こうすれば消しゴムをかけないので紙も痛まないし、塗りを失敗した時に一から線画を描き直さなくても済むので、便利です。 この線画の工程に関しては、画材を問わず、もっと単純な『デッサン力』を問われる問題なので、その辺りの妙技を知りたい方は、申し訳ありませんが、他のサイト様を当たって下さいませ。
テルゼ:うわー、凄い言い草ですねー……(汗) 分かりきった事とは言え、それでも一通り説明するのが『お約束』なんですけど……
管理人:その分色塗りについては詳しく説明しているので勘弁して下さい。 えーと、線画を用意したら、あと必要になってくるのは、もちろんコピック+αの画材です。 参考までに、ここで使用するコピックは、 E41、E00、E11、YR00、E04の肌色基本色(これにR000もあればベスト)に、 B41、B93、B45(以上銀髪使用色)、B32、B24、B18、Y00、YR31、E33、E44、C7、C8、G00、BG32、BG13、BG49(以上衣装部分使用色)、BV31、BV23(マント等白地部分使用色)……以上24色位ですね。 私はこの他に補助用の画材として、筆ポスカと色鉛筆(100円ショップで売っているような安いもので充分です)の白、ミルキーペンの白、コピックマルチライナー等を使っています。 時と場合によってはこれにパステルを加えたり、アイシャドーまで持ち出しますが、それはまた別の話という事で。
■肌の着色■
管理人:人によって塗り始める場所はまちまちかと思いますが(かく言う私も結構気分で変わる)、何だかんだ言ってもおそらく最も多いのは肌からと思われますので、ここでもまずは肌色の塗りから解説を始めたいと思います。
テルゼ:奇をてらわずオーソドックスな手法を取る。大いに結構ではありませんか。
管理人:しっかし選んだ箇所はオーソドックスでも、実際の塗りの手順はマイノリティなんだよなー……ごめんなさい。 普通、多くのコピック指南書では、一番広い面積を占める光源に近い薄い色から、影である濃い色へと徐々に重ねつつ塗っていくよう指示があると思いますが、私の場合は写真にあるように、4色指定してある肌色のうち、一番薄い影色(中間色)から塗り始めて、最後に一番薄い色を重ねてなじませる手法を取ります。 何気にこの『影の指定』が慣れないうちは一番難しかったりするので、最初は薄い色から濃い色へと塗っていくようにするのは決して間違いではないし(これは透明水彩の基本中の基本事項ですので)、修正もしやすいので良いかと思います。 ただ、コピックの場合、水彩絵具やカラーインクと違い、マーカーという画材特有の『色ムラが出来やすい』という欠点があります。その欠点をカバーするには、『影から入って明るい箇所を仕上げる』という手法は、かなり有効的です。 特に肌のような目立つ箇所に色ムラが出来てしまうのは、イラストとしてかなり致命的ですから、CGばりの滑らかな仕上がりを目指すのであれば、是非マスターする事をオススメ致します。 ちなみにこの『中間色から色をのばして塗っていく』という手法は、プロだと『天上天下』や『エアギア』で有名な大暮維人先生なども採用されているようです。
管理人:中間色で影をつけ、その上からぼかすように薄い色を塗ります。 さらに一番濃い影を置いた後、インクが完全に乾かないうちにまたこの上に中間色(E00やE41)または一番明るい色(R000)を重ねたりして境界をぼかすと、より自然に仕上がります。 逆にアニメ塗りのような色の境界がはっきりとしたイラストを描きたい場合は、先においた色のインクが乾いたのを見計らって色を塗っていくのがポイントです。その場合は、基本的な『薄い色から濃い色へ』の塗り方でも問題ないかもしれません。 コピックのインクはアルコール系の為(だから結構臭いがキツイです……作業中は気分が悪くならないよう、換気に注意!)、水彩と比較するとインクが乾くのがとても速いです。色ムラ回避はこのインクの乾燥速度との勝負になります。かと言って、あまり急いで塗ると余計に色ムラが目立つ結果になってしまうので(初心者が陥りやすい罠。特に濃い色はムラが酷くなりがち)、筆で紙の上に色を塗っていくというよりは、気持ち色を染み込ませていくような感覚で、あせらずゆったりとペンを動かしていった方がいいかと思います。 この辺りの感覚はやはり『慣れ』がものを言うところが大きいので、口や文章ではなかなか上手く説明出来ないのが申し訳ないですが。 あとは忘れがちですが、紙選びも結構重要ですよ。私はどこにでも売っている500枚200円位のコピー用紙で済ませていますが、マーカー専用の用紙も発売されていますので、色々試してみて、一番自分が使いやすい&イメージに合っている紙を使用すると良いでしょう。
一通り肌の塗りが終わった状態。
管理人:鼻筋などの最も高くて明るい部分は、塗り残して表現するとリアルな感じになります。 私はここまでの課程でもう4色以上のコピックを使用していますが、絵柄によっては2、3色でも充分事足りると思いますので(これは他の箇所も同様)、自分の中の描きたいイメージと相談の上、上手く調整して下さいね。
■目の着色■
テルゼ:続いては、目の塗りに入ります。
管理人:まずはBV31を目じりの縁にそって塗ります。 その上にもう一段濃いBV23を重ねて白目の部分は終了。 ここはどちらか一方、あるいはC系の薄い色で塗っても問題ないと思います。 イラスト全体の色調や好みで選んで下さいませ。
管理人:白目が終わったらもちろん瞳の着色です。 こちらも白目の部分同様、薄い色を置いてから、その上に濃い色を重ねて仕上げます。
テルゼ:目の塗りは基本的な塗り方なんですね。
管理人:んー、目玉の部分は塗る範囲が狭いからね。ムラになる事はまずないので、瞳に置いた色のにじみ具合に注意しつつ(はみ出さないように!)、ささっと手早く塗ってしまいます。 肌色部分のように、影色を置いた後、また薄い色を重ねてなじませると、色に深みが増してモアベターですよ。
目、終了。(ハイライトは後で入れます)
管理人:……さて、とりあえず絵の中心となる人物の顔部分の塗りが終了しましたので、実践編第1回はこれにてお開きにしたいと思います。 以降は次回『実践編・その2』に続きます。髪に服に、先はまだまだ長いです(汗)。
顔完成時点での全体図 |