2015年4月12日 / 最終更新日時 : 2015年4月12日 aoi-tamaki 長編小説 還り着く場所(11) 『こないで……お願いだからこないで……!』 虚ろな目でガラス窓の向こう、鈍色の空を見上げた男爵の脳裏に、在りし日の女の言葉が木霊する。 ──脳裏に浮かぶのは、美しいが恐怖に引きつった貴婦人の顔。 ああ、なんでこんな時に思 […]
2015年4月4日 / 最終更新日時 : 2015年4月4日 aoi-tamaki 長編小説 還り着く場所(10) ──そこは例えるならば悪魔の箱庭。無造作に切り取られた地獄の断片だった。 気がつくと、ジルは一人、その場所に立っていた。 石造りの部屋。採光用の天窓から差し込むわずかな月明かりと松明によって照らされた空間は薄暗く、 […]