2014年6月29日 / 最終更新日時 : 2014年6月29日 aoi-tamaki 長編小説 還り着く場所(4) 「……そう。まだあの時の私は、初対面であそこまで心を射竦められながら、それでも貴女を、自分でどうにか出来る程度の存在だと考えていたのです」 当時の事を思い起こす語り部の口調は、在りし日への愛おしさにあふれ、穏やかだ。 […]
2014年6月25日 / 最終更新日時 : 2014年6月25日 aoi-tamaki 長編小説 還り着く場所(3) 「あら、そんなことがあったのですか?」 「……ええ。 あの後、貴女はすぐに陛下と二人で込み入ったお話をされていたようですから、御存知ないでしょうが……」 初対面でしでかした己の痴態を思い起こして、ジルは照れ臭そうに頬 […]
2014年6月15日 / 最終更新日時 : 2014年6月15日 aoi-tamaki 長編小説 還り着く場所(2) 「──愛しています」 それは自分が終生、口にすることはないだろうと、信じて疑わなかった言葉。 「──愛しています」 その言葉の持つ意味を、その言葉を発する者の胸に宿る灼熱を、自分が真に理解する事は無いだろう──ずっと […]
2014年6月1日 / 最終更新日時 : 2014年6月1日 aoi-tamaki 長編小説 還り着く場所(1) 「……やっと……やっと貴女にふれる事が出来た……」 差しのべられた長い指先が、そっと髪に触れると、緩やかに波打つその流れにのって滑り、愛おしげに彼女の輪郭を辿ってゆく。 懐かしい感触。ランスの地で初めて彼の名を呼んだ […]
2014年4月27日 / 最終更新日時 : 2014年4月27日 aoi-tamaki 短編小説 たとえどこにいようとも(1) ──たとえどこにいようとも ──どのような時であろうとも おまえのことは俺が必ず見つけるから そしてきっと── ■■■ 多忙を極める時は分刻み……どころか並行処理の公務も少なくなかったはずだが、そんな常人には考えられない […]