厨二病の世界(その4)

(初出:November 24 [Sat], 2012)(2012年11月18日・更新開始)

本日のわかりやすくない『エンペラーズ・ハイ』

ダレフ「俺は神をやめるぞ!カナートォオオオオッ!」
ラフィー・イグナツ「さすがダレンフィムッ!俺達に出来ないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるーゥ!」

カナート「ざけんな、アホども」

リフ「やめてー!ケンカはやめてー!」

──そして、遠大な戦いは始まった──

(※今期アニメは『ジョジョ』しか見ていません。まる。)

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気がつくと週刊連載が板につきつつあるネタバレ企画。
今回、ようやく第4回(補足を含めると5回)という折り返し地点を迎えるわけですが、ここで『(ほぼ一から設定を纏めなければならないラフィーとかイグナツとか)面倒臭いから』という理由から『キモの部分は最後にとっておく』というセオリーや様式美をガン無視する形で、『かおす本舗』史上最大級のネタバレを含む『あの人』の諸設定を上げてしまうという、無謀な手に出た管理人。

「いや、まだ主人公が残ってるし、一部にはピー年前から暴露済みだし、いいんじゃね?」

──そんなわけで、「もう、ラスボスが誰かわかっちゃっても構わないや」、という作者同様、「ゲームはソフトと一緒に攻略本を買う派」な貴方だけ、『続きを読む』からお付き合いどうぞ。

(11月24日・更新完了)

・カナート=フォルツン=アフラロイド
称号:〈全知神〉
現象界における活動形態:成人男性
身長:185cm
体重:71kg

■スペック■
魔力容量(最大MP・ガソリンタンクの大きさ):B
演算処理能力(魔術等各種タスクの実行規模・速度。回転数):EX
格闘戦能力(白兵戦への適応度):A++
火力(武装・魔術等の攻撃力):A
機動性(敏捷性・瞬発力):A+
出力(トルク):B
防御力(耐久性):A
固有兵装(神器):EX
特殊能力:EX

■特徴■
その存在を秘匿された完全なる〈全知神〉。ダレンフィムと起源を同じくし、また使命を共有する双子の天帝。現行宇宙で最も高い権能を持つ神性の一柱。
ダレンフィムと共通の固有スキルを持ち、他の能力値も同じく高いレベルで纏っている。
その存在形態があまりにも「世界の事情に精通し過ぎている」が為に、有事以外は基本的に本人が故意に記憶や能力の多くを封印・分岐した状態で活動してお り、(表立って〈全知神〉として活動しているダレンフィムのバックアップの意味合いと、〈こちら側〉での生活を楽しめないので、という当人の主義・主張か ら)これらの事情や詳細について把握しているのは、最大の理解者であり裏切り者であるダレンフィムのみである。

■特殊能力・固有兵装■
〈全知〉(カテゴリーB・完全版)
ダレンフィムの持つ〈全知〉(カテゴリーA。前回記事参照)とは似て異なる神威の力。
先の記事にある通り、情報の数値化を旨としたダレンフィムが行使する〈全知〉の認識可能域に〈情動域〉──知性体の持つ非論理的思考域は含まれない。結 論として、ダレンフィムには人の心を直接読んだり、操作する事は出来ないのである。作中でダレフがそれらしき力をにおわせる事があったとしても、それはあ くまで対象の行動パターン、おかれた状況、脳波の乱れや心拍数の昇降などから割り出した〈推測〉に過ぎない。
ダレンフィムの〈全知〉が基本的に周囲の状況から対象の行動を予測するという機械的な判断を行うのに反して、カナートの持つ〈全知〉の力は対象の精神領 域に直に触れる事で発動される。特化した情動域にによる超大規模な精神感応能力。それがカナートの〈全知〉の正体である。
カナートの〈全知〉は、ダレンフィムのそれが無機的情報で行う作業を全て精神世界面で実行する。
攻撃を受け流す動作を例にとってみると、ダレンフィムの場合、対象の反応速度や技量など、戦闘中や事前に得られた情報から、先手を読み、回避・もしくは防御を行う。
対してカナートは相手が自分に向ける敵対意識の流れを感じとり、その軌道を『視て』同様の事を行う。周囲からはほぼ同じ操作性・方向性の能力と判断され るが、精神活動を行う対象に対する優位性はカテゴリーAよりも高く、また使用者に対する負荷はより大きなものになっている。
またダレンフィムは〈全知〉を能動的に活用した際、敵対者の魔術の行使に対して干渉する権能を持つが、カナートの能力を受動から放射へ反転させると、大規模な精神浸食が起こる事になる。
自軍に対しては戦意を高揚させる事で、機動性や的中率等を上昇させるなどの効果を発生させ、敵軍には〈恐怖〉〈疑心〉〈憎悪〉〈憤怒〉等の『負の感情』を増幅し放出する事で恐慌状態に陥れ戦意を消失させたり、同士討ちをさせたりする事も容易に可能。
戦士の守護者たる軍神として『正の面』を持つ一方で、種族を問わず無差別の大量殺戮を可能とさせる禁断の力は、不和と争いの神としての神性をカナートに齎している。

……ちなみにこの能力、必ずしも〈負の感情〉に【のみ】作用するものではなく、逆に相手の〈好意〉といった〈正の感情〉を誘発する事も出来る為、利用次 第では恒久平和も世界に築けるはずだが、〈負の感情〉へ訴える以上にこれをカナートは使いたがらない。(故に誤解されやすい)
いわく、
「……ただ意思もなく、意味もなく、強要されるだけの愛情など憎悪の念より性質が悪い。そんなまやかしによって築かれた楼閣が真の平和と言えるのか?この世界の在り様が気に食わないのならば、己が意志で奪い取り、変えてみせるがよい」
とかなんとか。
……まあ、ごもっともです。はい。

■神器■
〈黎明の託宣〉(クロムナーヴァ)
固有兵装【神器】〈黎明の託宣〉による〈破界〉の顕現。断罪と粛清の刃。
〈破界〉は文字通り、神罰の執行の為カナートに付与された〈世界を斬り裂き破壊する〉権能。電磁的・物理的遮蔽は無論の事、魔力によって組み上げられた 結界も時空間ごと切断し、その力はレイグリフの〈封隠〉によって生成された枝宇宙にも及ぶ。シンプルであるが故に、絶対的な暴威を奮う理。
 (別名:魔力供給無制限かつ多次元に及ぶ天地乖離す開闢の星)
神器を完全開放した場合の影響範囲は計り知れず、その一方で並行宇宙や多次元への移動が可能な同格以上の神性に対してはこの権能ですら本質的には決定打に欠ける為、常に威力を絞った状態でしか発動した事はない模様。

この微妙な使い勝手の悪さに、本人ですら封印状態がすっかりデフォルトになってしまい、真の威力を忘れがちだったりする……そんな装備で大丈夫か?(大丈夫だ、問題なry

■情報操作■
十全な状態の〈全知神〉のみが持つ力の一つ。
観測者としての権限を行使し、対象の存在情報を宇宙から消去する。処理は〈記録書〉の記述に干渉する事で宇宙の裏側から実行される為、〈全知神〉以下の知覚しか持たない者にとっては、対象とそれに関わる歴史は最初から『無かった事』として認識される。
当初、カナートはこの力を使って同胞が犯した罪を秘密裏に処理しようとしたが、既にして自分と同格の存在である新しい〈全知神〉が〈こちら側〉に降りてきてしまっていた為、相殺される形で実行する事が出来なかった。
結果として実力行使に出ざるを得なくなり、この動きを察知した処理対象が防衛・反撃。一連の騒動の結果、関係者の戦闘宙域では周囲の時空間に多大な影響が及び、〈本国〉は航宙艦の主要航路の一つを封棄するに至った。

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(おまけ)
■カナートのキャラが出来上がるまで■
後発で制作された『ウルカヌスの柩』は(あれでも)いい加減な作者なりに、自分のやりたいことと顧客ニーズに折り合いをつけながら、一つ一つの設定を考 えながら作っている一方、『エンペラーズ・ハイ』は、良く言えば常にインスピレーションを重視したライブ感あふれる……もとい、週刊連載の少年マンガ以上 に「いきあたりばったり」な『ノリ』のみで設定が作られていたりする。
キャラの名前なんて殆ど語感重視の造語だし、(逆にイグナツだけヨーロッパに実在する人名からとってしまった為、違和感バリバリで、それを補完するのに胡散臭い理由をこじつけなければならなかった)作品のテーマや世界観設定なんて本気で『勝手についてこい』な状態。
そんなノリの極みで創られた『エンハイ』の中でも、特にいきあたりばったり感あふれるキャラ造形が発揮されたのが、このカナートの設定だったわけで……

・その1……そもそも最初は双子じゃなかった。
……未だに本来の定数の半分も揃っていない『エンハイ』の〈十二柱〉。
ところがどっこい、ここの管理人、最初期に完成したイグナツ(実は名前が出てきたのはダレフよりも遥かに先)、それに絡む形で難なく生まれたエリフォン に続いて、長らく間を置いてから何とかダレフとリフの設定が出来上がった頃には、既に能力のネタ切れとパワーインフレに頭を抱え始めていた。(をい)
……元々ギリシア神話の『オリンポス十二神』が元ネタだったのと、なんとなく作者の中で『十二使徒』とか『黄金聖闘士』とか、『選ばれた精鋭集団の定数 は12人』という暗黙の了解が出来上がっていたので、『主人公の上司は十二人』って設定にしちゃったんだよー……でも、元ネタの『オリンポス十二神』も比 較的メジャーなのは、主神のゼウスと奥さんのヘラ、『聖闘士星矢』にも登場した戦女神アテナと、対になる軍神アレス、あとは海王ポセイドンとか冥王ハーデ スぐらいのもので、ヘスティア(かまどの女神。実はゼウスの姉にあたるので、序列的には結構偉い)あたりに至っては、一般人だと『誰?』って感じじゃん……これをどうやってパワーインフレ起こしまくりな少年マンガ風キャラにアレンジすればいいのか……
デザインはなんとかひねり出したものの、能力の線であーだこーだと悩んだ末、『もういいや、面倒臭いからダレフと双子って事で、〈全知神〉って事にしよう。ぱっと見、全然似ていないけど(※その後、顔のパーツは全て同じにしました)』と開き直り、それさえ決まってしまえば、後は野となれ山となれ。前述の型違いの〈全知〉の設定をさっさとこしらえて今に至る。

・その2……そもそもラスボスじゃなかった。
……『カナートの能力がダレフと同じ〈全知〉なら、父親の存在を(間接的に)のり越える意味でも、ラスボスはカナートって事でいいんじゃね?
……ほら、能力的に対になるというか、因縁のある相手とライバルになるのはよくある構図だし──ガンダムとかでもアムロとシャアが決闘したり、ウィングゼロとエピオンがラストバトルしたりするでしょ……あ、ほらカラーリングもちょうど赤だし、ぴったりじゃん(←)』
このラスボス設定も、能力が決定したのとほぼ同時点で即決でした。ええ、作者にとってテーマや設定なんて本当に飾りです。(そうでない人もいるけど)偉い人や設定マニアにはそれがわからんとです。

・その3……そもそも○○○と同一人物じゃなかった。(※ネタバレ)
……しかし、容姿・能力とここまで外堀が埋まりながら、そのキャラクター性が待てど暮らせどどうにもこうにも降りてこなかったカナート先生。
喋り方とか仕草とか表情とか、基本がダレフなので表向きは『なんとなく』想像は出来るものの、心情とか信念とか、こう思想的なもの……中身の核となるものが全く見えてこなかった為、文章の中で動かすのは勿論、一枚絵すらまともにかけなかった。
これはまずい……ラスボスがペライほど話として興ざめするものはない……というか、何より私自身が気に入らないキャラを書きたくないし、楽しくない。どうせ書くなら某CCO様のようなイケてる悪役が書きたいじゃないか……
さて、どうしたもんか。
ちょうどこの頃ぐらいですかねー……『聖闘士星矢』にハマり出したのって確か。
管理人は車田星矢では断トツで双子座がお気に入りなんですが、(手代木版だと魚介類の二人。特に蟹はアカン……あの恰好良さは販促……じゃない、反則 や……)改めて『星矢』を手に取った時、幼少時、リアルタイムで見ていた当時は知らなかった教皇の正体=双子座の図式とその裏事情にかなり感銘を受けまし て。『ああ、こういう書き方もアリか』と。
……そういや、初期設定でも〈十二柱〉の中から〈裏切り者〉が何人か出る予定だったから、この『獅子身中の虫』というか、『敵は本陣に在り』の図式って大変結構なんじゃね?何より、外部からの侵略者を設定しなくて済むから、これ以上のパワーインフレを起こさずに済むし。まさに一石二鳥。
……例によって、方向性さえ決まってしまえば、『後は野となれ山となれ』な管理人。
こうして、最初期設定の当初から主人公と将来的に敵対する候補になっていた某キャ ラとカナートは、実は同一人物という事になり、『エンハイ』は物語開始当初からラスボスが出ずっぱりで活躍し、一見和やかに見えて、実は主人公と腹の探り 合いをし続けているという、非常に陰湿な話なったのでした。
──ええ、カナートさんは最初から行方不明になんてなっていませんよ?ずっとこのブログにも登場していますしね。既にだいたいの検討がついている貴方、多分正解です。デザイン的にもヒントは一応作っていたりするんですが。
この『融合設定』のおかげで、『慈悲も遊び心も持ち合わせているけど、見えないところで仕事は冷徹にキッチリこなす出来るイケメン・(属性:インテリ赤毛美形)』という個人的ににドツボなキャラが手持ち創作内に誕生し、作者は密かにホクホクしてるとかいないとか。
惜しむらくは、この設定準拠では現状だと表だって活躍させてやれない事か……早く本編書けよ。

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カナートの項が設定上、どうしても長大になることを避けられなかったので、次回はまたワンクッション置く予定です。

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