厨二病の世界(その6)

(初出:January 02 [Wed], 2013)

(1月3日 0時54分 更新完了)

最近、某型月商法マジックから目が覚めつつあることもあり、こういう裏設定の羅列をブログに堂々と掲載するのもどうかと思い始めた管理人。

どうも最近のオタクとそこからクラスチェンジをした創作屋は勘違いしがちですが、『作品』にとって最も大事なのは、キャラであり、また彼らが活躍するこ とで生まれるドラマにあるわけで、『設定』というのは、あくまでもその活躍の場である〈世界観〉ないし〈行動理念〉という舞台装置や演出を円滑に機能させ るためのものであり、決して物語の主役として議論されるべきものではないはずです。

たとえるなら、美味しいフランス料理のメインディッシュを味わっているところで、使われている食材の産地についてひたすら薀蓄を垂れているような感じ。
確かに素材のチョイスや下処理は大事ですが、それが料理全体の調和を乱すものでなければ、そこにやたら執着じみたこだわりを感じさせるのは、木を見て森 をみないようなもの。料理をよりおいしく応用・発展させていくためならば、時として臨機応変に、伝統のレシピへ新しい時代の風を吹かせるのも大いにアリな はずです。
ま、シンプルに言ってしまえば。
もともと設定なんて言うものは、信者が敬い掲げるような絶対的な真理でもなんでもないし、行間から読者が『読み取る』ものであって、『読ませる』ものじゃないと。そういうことです。

だから、小説なりマンガなりの作中で実際に登場・言及していない『裏設定』について声高に誇示するのは、旧来の作劇作法的には非常にナンセンスというか、アウトだったわけで。
それを『解説』としででなく、いかに『物語』として自然に読み取ってもらえるかこそ、作者の力量のみせどころだったはず。

それが近年、ゲーム文化が発展するにしたがって、その影響が他のメディアにおいても浸透・融合していくことで、『情報』や『数値』としての設定が妙に珍 重されだし、それこそ作品自体のボリュームを上回るような膨大な情報量の『設定(ないし裏設定)』が作品に付随するのが半ば当たり前になってゆき、その書 き手がさばききれないほどの設定があるかないかで作品の良し悪しすら判断されがちなのは本当に如何なものかと。
決して設定の厚み=作品の厚みではないはずなのに。
最低限度の情報量で構成されている完成された作品よりも、ある意味、ファンが議論や二次創作をしやすい土壌を提供してくれる『余力を残した80パーセン トの出来の作品』の方が、コンテンツ消費のスピードが異様に速い昨今、より記憶に残りやすいのは仕方がないのかもしませんが。

ただ、やっぱり自分が目指しているのはそういう路線ではないな、と最近気が付いたので、少しずつ進路を戻していこうと思っています。
(まあ、設定というか、キャラの背景とか行動パターンをシミュレーションするのは大好きなので、今後も水面下では色々と実験は繰り返していくとは思いますがねv)

目指すべきは、同じ『80パーセントの余力』でも、『まだまだ設定を詰め込めばいくらでも使える世界観』なのに、『話として綺麗にオチがついたら、次の 夢を追う』という、『カオスレギオン』の冲方先生のような贅沢な話の書き方や、『高度なSF設定を小学生でも感動出来るお話に昇華させる』藤子F不二雄先 生のような、シンプルで親しみやすい物語が組める作家になっていきたいです。
『はみ出しの設定による残り20パーセントの余力』ではなく、『可能性による空白の20パーセント』で読み手に夢を見させるのって、素敵じゃないですか。

……と、新年らしい抱負溢れる良い話を書いたところでなんですが。
企画自体を途中でやめるのも、それはそれで美しくないので、一応オチまで頑張ることにします。

新年初のスペック表の更新は、一部で妙な支持を得ている『隠れボス』なあのお方です。
興味のある方は『続きを読む』からお願い致します。

 

・ラファスーン=グラナンディ=アフラロイド
称号:正式なものは不明(通称としては、〈眠れる大神〉〈光陰の王〉〈豊穣と滅びの魔皇〉などが有)
現象界における活動形態:成人男性
身長:198cm
体重:86kg

■スペック■
魔力容量(最大MP・ガソリンタンクの大きさ):EX
演算処理能力(魔術等各種タスクの実行規模・速度。回転数):B
格闘戦能力(白兵戦への適応度):C
火力(武装・魔術等の攻撃力):A++
機動性(敏捷性・瞬発力):E
出力(トルク):EX
防御力(耐久性):B
固有兵装(神器):─
特殊能力:EX

■特徴■
〈本国〉を拠点とする〈天魔〉の中では随一の規模の魔力圏を持ち、加えてほぼ無尽蔵とも言える魔力容量誇る。有り余る魔力は、常時航宙艦用の転移ゲートを維持してなお、なんら痛痒を感じさせぬほど。
出力や火力だけなら首座魔皇のダレンフィムやレイグリフすら凌ぐ凄まじい法門の大きさであり、その権能の発露はあまりにも壮大で容赦がないことで知られる。純粋な力押しで〈全知神〉と渡り合うだけの実力を持つ数少ない存在。
〈宇宙〉の発生において特に重要な役割を担った〈始祖天魔〉のうちの一柱であり、〈時空〉の概念を支配領域として掌握する。最も古く、最も強力な神性と して現行宇宙に君臨し続ける大神。宇宙の在り様と方向性を定める統治者。また時空間制御とは別に元素干渉も得意とし、この二つの力で多くの生命に豊穣と滅 びをもたらしてきた。
そんな〈死と生〉〈終わりと始まり〉を体現する存在でもある為か、あるいは共に空間制御を得意とする故か、〈起源〉を別とはするものの、冥府の主である〈法皇〉レイグリフとは同一起源のイグナツより懇意である。

■特殊能力・固有兵装■
〈永久(とわ)に尊厳なる百代の過客〉(イムヘルト・ルブグレイサ)
時空間制御。分子の活動を一時的に停止させるような疑似的なものではなく、概念・空間的な意味での真の時間遡行・進行・もしくは停止を可能とする権能。
一見無敵に近い、非常に規格外な力に思えるが、基本的に宇宙の特異点とも言うべき〈全知神〉〈法皇〉〈護戦神〉といった同格以上の上級天魔は、デフォル トで時間軸から外れた状態での活動が可能である為、彼らとの戦闘においては(使用に何かしら一計をしかけない限り)まったく決め手にはならない上、時空間 制御は一種の因果律干渉とも言え、能力的には〈情報〉を支配領域とする〈全知神〉と食い合いを起こし、結果として上位互換にあたる彼らの権能に競り負けて しまうという、実際の使い勝手としては非常に微妙な特殊能力だったりする。
もっとも、それはあくまでも〈天魔〉の間(しかも非常に限られた範囲)での話であって、その偉大な力は恒星間移動の際に欠かせない技術である『時空間ゲート』や『空間跳躍』に多大な恩恵をもたらしている。

ちなみに〈運命〉や〈時間〉に関わる神性の多くは象徴的な武装として〈大鎌〉を所持しているが、ラファスーンの場合も一応それらしきものは所持している ものの、カナートやエリフォンと違い、能力の行使に直接影響があるわけではないのか、特に積極的に開帳する事はないらしい。
(むしろ最大の武器は魔力容量に物を言わせた火力だし)
……まあ、確かに〈鎌〉というのは、見栄えこそいいものの、武器としてはそれほど使い勝手の良いものでもないしね……

■元素干渉■
時空間制御とは別に、〈豊穣と滅びの魔皇〉の側面として、四大元素(地・水・火・風)の全てを支配下に置く事を可能とする。
これら時空間制御と元素干渉の二つを効率的に用いた〈惑星開発〉は半ば〈大神〉の趣味であり、ラファスーンが気まぐれに作った〈箱庭〉では様々な知性が生を謳歌し、また衰退に涙してきた。
──が、ここにきて、そんな彼らの在り様を、遠く次元を隔てて眺めるだけでなく、同じ宇宙、同じ世界で視てみたい……と、突如湧いて出た好奇心に突き動 かされた〈大神〉は、本来存在する世界から途方もない存在の縮退化を繰り返して〈こちら側〉に現出した。これが普段、史河達が認識しているラファスーン (のごく一部)である。
その『次元降下の旅』の道中、これまた好奇心から〈全知神〉であるダレンフィムと衝突し、『拳と拳で語り合った』結果、そこから奇妙な同盟関係を築いて今に至るらしい。

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カナートがラスボスなら、実はスペックがそれ以上にアレだったりする裏ボス仕様なラフィーの旦那の詳細設定、何気に初公開の巻。というか、この記事を書いている最中にいきあたりばったりで仕上げた箇所多数。

スペック表からもなんとなくわかる通り、大出力ですが小回りがまったく効かないので、本編ではほぼ活躍の場がない、強過ぎるがゆえに何も出来ないキャラの見本のような人。基本、作中ではリフとお茶を飲んでいるだけです。(某最強議論スレッド常連作品に登場する〈ザ・ビヨンド・クラスファー・オーバーマテリアル〉的ポジション)『本国』の宙域からちょっと動こうとするだけで災害扱い、というかウルトラマン出動レベル。

以前、拍手のコメントで『家庭菜園をしながら、さくっと世界を滅ぼしそう』というようなコメントを頂いた事があったのですが、割と比喩でもなんでもなく大正解だったりするあたり、何も言えない。

さて、これで長大な設定資料集も残すはあと二人。大トリのあの人はもう動かしようがないので、次は変態医者がくるか、番外編がくる予定です。今しばしお付き合い下さいませ。

……この戦いが終わったら、今度こそジルジャンのきゃっきゃうふふを書くんだ……
 

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