彼氏彼女の事情・食事編(その2)
(初出:May 05 [Sat], 2012)
前回の記事が予定より大分長くなってしまったので、急遽前後2回に分けることになりました、『ウルカヌスの柩』……はもとより、『エンペラーズ・ハイ』の設定にもつながるであろう、ネタバレ設定集記事の第2弾であります。
今回もひたすら文字のみの長文になりますので、覚悟のある方のみ、以下、お付き合い願います。
最初から色々ネタバレ全開です。
・ジル(後天性吸血鬼・称号無し)
……ルカシュやクリストファとは違い、生家はフランス屈指の名門であり、元は富裕さにおいては王家すら凌ぐ正真正銘の大貴族であったが、血の親も無く、600年の齢を経た今も吸血鬼としては無名という、あらゆる意味で特異な存在。ルカシュの天敵。
その吸血鬼への転向に関しては謎が多く、長らく彼を研究対象としていた教皇庁もついぞ事の真相を掴む事は出来なかった。
ただ、本人の言葉をそのまま信用するならば、19歳(数え年なので実質18歳)の時、蔵書などからの知識と自らの意志の力のみで人としての生を捨て、魔性の道を進み始めたという。
吸血鬼化のタイミング自体は主要キャラで最も若く(※ルカさん21歳、クリス君20歳)、少年の面影を色濃く残した中性的な美貌の持ち主だが、その一方で波乱の時代を生きてきた為か、男性として最も成熟した精神を持つ。
ルカシュやクリストファが生を受けた時代より遥かに教会の権威が強く、異端とみなされる事が即、身の破滅に繋がった当時、大貴族である彼が、あえて危険を冒してまで人を超えた力を求めたのは、全て祖国フランス──もとい、そこに生きる人の為。
長く続く戦と政局の混乱で疲弊しきった国が、これ以上荒んでしまう前に、より大きな力を持って全てに終止符を打つ──たとえそれが、同時に自らの生の幕切れを意味しても──という、当時の貴族としては珍しい程の滅私奉公な覚悟の上によるものだった。
彼の覚悟は聖女をいたく感動させたが、のちに彼自身が振り返っていわく、『幼い頃から祖父の権力欲に振り回され、ままならぬ己の人生に自暴自棄になっていたところもあったのでしょう』とも。
諦観が底にあったとはいえ、祈りから自らを犠牲にする姿勢は、実際にとった方法とは裏腹に、より深い意味で信仰を実践していたといえよう。
──いかなる理由にせよ、運命の聖女と出会う以前から、彼の時は既に止まっており、悪魔に売り渡した己が魂を満たすには人の血を必要としていた。
戦いに早く決着をつける為、そして血を得る為に、貴人の指揮官であるにも関わらず、常に最前線で剣を振るい、端正な横顔に返り血を浴び続ける彼の姿は、やがてフランスの猛将として知られるようになる。
だが、彼の奮戦も虚しく、戦局は一向に好転する事はなく、一人の武人が無双の働きをしたところで、結局は何も変わらないという現実に、徐々に焦りと虚しさを感じるようになっていた。
そんな頃、古い言い伝えに沿うように、『フランスを救え、と神の啓示を受けた』奇跡の乙女、ジャンヌ・ダルクがシノンの宮廷へと現れる。
当初は叔父のドゥ・ラ・トレモイユに命じられ、半ば監視役として彼女の護衛(そして実質上の軍団指揮官)の任に就いたジルであったが、彼女と行動を共にするうちに、その神性が間違いなく本物であり、また彼の本性を知ってなお、これを受け止め、温かく包み込む深い人間性に、次第に惹かれていく。
乙女もまた彼より早い段階で彼女の騎士を愛するようになっていたが、相思相愛であるがゆえに、決して赦されない二人の恋は、ランスでのシャルル王の戴冠を期に、急速に破滅へと向かっていく事になる。
彼が吸血鬼であることを嗅ぎ付けた悪魔祓いの神父・プレラーティの姦計により、フランス軍から孤立したジャンヌはコンピエーニュでイングランド軍により捕縛。
彼女の幕僚であったアランソンを始め、ラ・イール、ジルが救出に動くものの、悪辣にして一流の魔術師であるプレラーティの前にことごとく敗退。作戦は失敗し、ジルもまた異端者として囚われの身となる。
彼に対し歪んだ愛情を持つプレラーティから、貴人の身分では本来考えられない、容姿が変わる(この時から黒髪→白髪にに変化)ほどの過酷な拷問を受けた末、教会から破門を受け、牢にいる間にジャンヌが火刑にされた事を知らされる。
……あらゆる全てから見捨てられ、愛する人も、果ては自分の名すら失った『救国の英雄』は、失意のうちに人知れずローマに移送され、『転向者』の標本として永久に幽閉される事になった。
人の道を踏み越える事・死へ挑む覚悟があったものの、むしろ死すら生ぬるいこの世の地獄を味わう事になった彼であるが、いかな魔術師が非道の限りを尽くしても、その精神が折れる事はなかった。
あまりにも尊い魂の在り方、生き様から、結果として、それまで彼を『モノ』として扱ってきた教皇庁の魔術師の心すら動かすようになる。
──かくして、再び戦場に立った彼は、今度は人類そのものを守る砦として、煉獄から来たりし悪鬼と対峙する事になったのだった。
武人でありながら、書を好み芸術を嗜む風流人で、公平かつ清廉潔白な人格の持ち主。古の聖者を思わせる佇まいは、教皇庁に奉仕している当時、密かに尊敬の対象となっていた。魔術に関しても実践は出来ないが知識は豊富。
ただ、百年戦争当時から現実主義者だった彼の宗教に対する見解は、時と経験を経て非常に冷め切っており(史実と違って破門されたままだしね)、神や信仰とは関係なく、目の前の状況をただありのままに見つめ、最善を尽くすことが、名も無き一振りの剣も同然の存在である自分の成すべきことであると考えている。
ジャンヌが正式に聖女として列せられるようになったことについては、彼女の功績が認められて嬉しくもあるが、皮肉にも感じている。
現在は、わけあって教皇庁からは離れている。(貴人ちゃん&クリス君陣営がスカウト中)
主要人物の中でもとりわけ濃い人生を送っているが、食事事情もかなり複雑。『ウルカヌス』の主要キャラのうち、ブログにおけるメタ世界と本編小説とで果てしなく食事事情にギャップのある人物。
本編での彼の食事事情は悲惨そのもので、大前提として血液をまともに経口摂取したことがない。
戦場では返り血を浴びまくる事で皮膚を通しての取り込みを行っていたが(そんな状況で逆に『それだけ』で済んでいたのが信じられない、というのはルカさん談。
普通、飢えている状態でそれほど血生臭い環境にいたら、狩猟本能が呼び起されて相手を失血死させるまで吸血するのが吸血鬼、というものらしい)、ルーアンのジャンヌ救出作戦で捕縛されて以降は、投獄された地下牢で大切な人を穢した相手から自らも凌辱を受け、男性として最も屈辱的な方法(※お察し下さい)で、本人の意志とは関係なく、連日の魔力補給(という名の暴行)を受けるようになる。
『……いくら精神が拒否しようとも、本能として身体が(行為に対して)勝手に応じる……むしろ積極的にな。絶望のあまり最中に何度命を絶とうとしたか分からないが、舌を噛み切ろうが胸を突こうが、注ぎ込まれればたちまち回復してしまう。
蔑まれ踏み躙られ、己自身の身体でさえ自分を裏切る──これを地獄と言わず何としよう。いっそ狂ってしまえたなら、どれだけ楽であったか』(本人談)
プレさん外道。マジ外道。
教皇庁へ幽閉後も彼の受難は続き、屈辱的な暴行さえ受けなくはなったものの、今度は管で繋がれ、実験材料として遺伝子レベルで切り刻まれるような日々を過ごす。
無為な毎日にやがて転機が訪れたのは、ほどなくして。
それまで宝の持ち腐れ状態だった聖遺物の運用という点で非常に高い適正が彼に認められるに至り、ようやく標本としての生活から解放される事になった。(立場的には相変わらず、教皇庁の管理する『モノ』であるのに変わりはなかったのだが)
教皇庁の影の歴史に名高い〈最初にして最後の聖騎士〉として活躍後(吸血鬼として絶頂期のルカさんを倒したのもこの人)、更に紆余曲折の末、数百年の時を経て自由の身となった彼だが、とはいえ、ルカシュやクリストファと違い、血の親──後見人が存在しない成り上がりものの吸血鬼は、同族のネットワークからの情報も、血を定期的に提供してくれるパートナーも得る事はままならず、現在は所持している聖遺物の効力によって、細々と活動に必要なエネルギーを最低限得ているらしい。(彼の教皇庁に残した最後の活動記録から計算すると、もう百年単位で血も精も補給していない模様)
日が昇っている間も身体能力は衰えず、一般的な補給がほぼない状態でも活動出来る吸血鬼、そして彼に恭順する〈奇跡の欠片〉である聖遺物──教皇庁に秘匿され続けてきたその稀有な存在が、他の勢力に渡る前に、〈回収〉ないし〈破壊〉すること。
これがローマに呼び戻された特権退魔師・ルカシュ=ディフラ=バートリ──かつての〈霧の貪狼〉に命じられた最優先命令である。
……と、本編では『かおす本舗』全体の中でもブッチ切りの悲劇の貴公子である彼だが、ブログではルカシュやクリストファと完全に立場が逆転。最高の勝ち組の一人となる。
この逆転劇のキモの全てはジャンヌの存在の有無による。
何しろただその場にいるだけで聖性を振りまいている、いわば『歩く魔力炉』みたいな娘さんが望んでイチャイチャペタペタしてくれるので、軽くキスするだけでも魔力回復が可能。またその気になれば自他共に認める相思相愛馬鹿カップルであるが故に、夜はガッツリ余剰分まで生気を補給出来る。(おかげでそのステータス値は、さながら某騎士王の第四次と第五次ぐらい違う。ルカさん涙目)
……ちなみに、彼の名誉の為に言及しておくが、本編、つまりジャンヌが存命であった頃は、男女の関係は全くなく、キスをするどころか、手を握る事すら殆どなかった。ジャンヌの存在はフランス軍全体の宝であり、互いに特別扱いする事で、兵の士気が下がる事を避けた為である。(最も、ラ・イールやアランソン等、身近にいた人物やシャルル王には感づかれていたようだが)
メタ世界でも彼の方から積極的に彼女を抱こうとはしなかったようだが(虜囚の間の酷い拷問生活でPTSD気味だったのもある)、ジャンヌの方がああいう性格なので、半ば押し切られる形で契りを交わしたらしい。
今は生前叶わなかった普通の恋人らしい生活をそれなりに満喫しているらしいが、とにかくジャンヌさんの性格がアレなので、変な方向に目覚めないか、ちょっと心配である。(『百年戦争時代から既にその気があった』とはプレさん談)
ブログでのラブラブぶりは、本編での苦労に対するご褒美のようなもの。だからもう、アランソンさんは赦してやろうぜ……
ところで何故、元帥の項目がこんなに長いのかって?
それは全て愛と需要(人気)の差というヤツである。
・イシュトヴァン(先天性吸血鬼・イングランド公爵)
……現在では数少ない先天性、すなわち純血種の吸血鬼であり、現在〈ヴァンパイア〉と呼ばれる種族全体における実質上の王族である男性。ヨーロッパに君臨する真の魔王。
本人の巧妙な情報操作によって、教皇庁の記録にすら残っていないが、魔族としての実力はルカシュやクリストファを軽く凌ぐ。
その齢は2000歳を遥かに超え、純血種同士の交配で生まれた最後の世代の一人であると思われる(詳細は後述)。
現在名乗っている『イシュトヴァン』という名や『バートリ』といった姓も、彼が今まで使ってきた呼び名のうちの一つに過ぎず、誕生して最初に親から贈られた名は既に覚えていない(興味がない)という。永遠の刻を生きるという高貴な存在がどういうものかを全身で体現する一人。
作中に登場する吸血鬼の中では最も処世術に長けており、表・裏両方の社会での地位は常に高い。
人間より遥かに長大な命数によって研鑽された知識と異能によって、各国の王族や名立たる貴族の元を訪れては、時に彼らを救い、時に彼らを破滅に追いやってきた。『人生は舞台 人はみな俳優』と標榜し、自らの観察欲を満たす為、策謀をめぐらしては、歴史の影で暗躍する。
現在は称号にある通り、イギリスに居城を構え、表社会では実業家として成功し、裏では王家や軍幹部の顧問として、抜け目なく活動する(表社会でも『サー』の称号持ち)。
あまりにも公人としての力が強いのと、拠点となっているのがプロテスタントの地である為に、教皇庁ですら彼には手が出せない。(一人円卓会議兼、王立国教騎士団状態)
警察にも顔が利きくのだが、彼自身が今の自分の在り方を気に入っているのと、吸血鬼として目立つのを嫌っている為、クリストファ同様、狩りは殆ど行っていない。
(たまに狩りの感覚が恋しくなると、人間ではなく他の魔族にちょっかいを出している模様。
地上で大多数をしめている人間に手を出すより、よほど事件のもみ消しがしやすいのと、場合によっては人間から感謝を受けることができるから、とか)
普段はもっぱら複数抱えている愛人からの吸血ないし吸精や、自分の息のかかった製薬会社や医療機関・組織などから、特殊な血液製剤の形として活力を得ている。
クリストファは妹の眷属ではあるが、個人的に気に入っている為、その一部を流してやっているらしい。
ルカシュのことも気にかけてはいるものの、こちらはあくまでもからかいの対象としてで、彼の存在と齎される情報は教皇庁側に度々いらぬ混乱を引き起こしている。
……ところで、ルカシュやクリストファを筆頭に、各地に血を分けた子飼いの吸血鬼である愛人(という名の保存食)を持つ妹に対し、彼の抱えている女性達や使用人はいずれも普通の人間であり、身近に同族の影は見当たらない。
妹と違って血の安売りはしないらしく、今は永い時の果てにようやく見つけた、彼をして『後継者に相応しい』逸材を彫琢している最中なんだとか。
完成した暁には、ルカシュやクリストファなど問題にならない傑作になるらしいが、『……まあ端から彼にとって氏族間の抗争や痴情の縺れなど、興味のない話だろう。私としても彼には大局を見て行動して欲しいからね。あちらのイザコザにチョッカイを出すつもりはないよ』との事。
■何故、吸血鬼(ヴァンパイア)は血液等を通して魔力補給をしなければならないか■
……理由は割と単純。そうしないと存在を維持し、生物として活動出来ないから。
少なくともヴァンパイアとしての異能の数々は全く使えなくなってしまう。(加えて日光に対する抵抗力も弱くなる)ただ横たわっているだけの生ける屍として、誰かが葬ってくれるのを待つしかない(あくまでも仮死状態なので、逆に完全に死ぬ事も出来ない。元帥は長らくこのような封印状態にあった模様)。
実は、今ヴァンパイアと呼ばれている種族の中でも特に〈純血種〉と呼ばれている存在──俗にいう真祖達は、人間と同じように普通の食事を摂取することで生活していた時代もあった。
(シードのような純天魔と違い、イシュトヴァンなどが食事自体を楽しむ習慣があるのは、その名残り。食事はあくまでも味覚や嗅覚を楽しませるだけのもので、栄養補給には繋がらない。究極の嗜好品)
だがある時期を境に、現在地上にある一般的な食物からでは活動エネルギーを確保する事が出来なくなり、物質的な形ではなく、直接活力そのものを効率的に取り込むことで、霊的な側面から己の存在を維持する方法を見出したのが、現在まで生き残るヴァンパイアの祖先達である。
(当時これが出来なかった真祖達は、その時点で絶滅した)
これらの形質は血の親からそのまま子に受け継がれる為、元々は人間だったルカシュやクリストファも、吸血鬼化した時点で、不老不死や異能と引き換えに、愛する人たちと同じ食事をとる事は出来なくなった。ヴァンパイア全体を激減させる要因となった、いわば種族全体を蝕む呪いの一つである。
【以下、作品の核心につながるネタバレ】
■先天性吸血鬼(純血種)と後天性吸血鬼の違い■
……前述の通り、作中に登場する吸血鬼(ここではヴァンアイアを指してこう言う)には大別して二種類がある。生まれながらに吸血鬼としての特徴を兼ねそろえた純血種である先天性吸血鬼、そして彼らによって人間が吸血鬼に転向させられた後天性吸血鬼である。
現在一般に吸血鬼として確認されているのは後天性の『人間上がり』が殆どで、『爵位持ち』と呼ばれる純血種達が表舞台に現れる事はまずないと言っていい。
(ルカさんは後天性なのにも関わらず、爵位持ちだったので、教皇庁からは完全に純血種と認識されていたらしい)
純血種が何故これほど数が少なく、彼らが人間を見下しながらも、その尊い血を分けて後天性吸血鬼を創り出し続けたのか。それは彼らがもはや同族同士での交配が出来なくなってしまったからに他ならない。
つまり、僅かに生き残った純血種が幸運にもめぐり逢い、心通わせ、自然な形で次の世代を成そうとしても、二人の愛の形を残すことは、既に叶わなくなってしまっている。
いくら不老にして不死であったとしても、活動の糧を得るには、今や惑星上で大多数を占めるようになった人間の存在に頼らなければならず、新たな仲間も増やせないとあっては、種としての命運は既に決しているようなもの。緩慢でありながら確実な滅びを待つしかなくなった彼らは、何らかの形で種を保存する血路を切り開こうと、奔走する。
その成果として生み出されたのが、遺伝情報が比較的近い人間への『株分け』であるが、血を与えた者が必ずしも種に適合出来る保証はなく、また『転向』に成功したとしても、株分けを行った『血の親』よりも能力的に劣化してしまう場合が多く、決して満足のいくものではなかった。
また、『株分け』された子の側も同族の交配が出来ない、食物からの栄養摂取は不可という『呪い』をそのまま引き継いでしまうとあって、単純に『数を増やす』という事においてはいくらかの結果を出したものの、問題の根本的な解決には至らなかった。
一方で人間との交配を試みた結果、生まれたのがダンピールやクルースニクであるが、こちらも吸血鬼として覚醒する場合としない場合があり、最悪、親の敵になる場合がある為、その存在はあまり歓迎されていない。
──純血種同士の交配を除き、あと残り少ない可能性として、先天性の吸血鬼が生まれてくる場合があるとすれば、ダンピールやクルースニクなどの存在によって人間の間に散っていた遺伝情報が、複数の世代の掛け合わせにより色濃く表れ、『突然変異』ないし『先祖還り』を起こす事例である。
ただ、このケースは覚醒までのプロセスが非常に緩やかで、吸血鬼として相応の能力を発揮するまでの時間がかかり、種を跳躍する為の何らかのトリガーが引かれなければ、そのまま『超人的な人間』として一生を終えてしまう場合が多い。
とはいえ、長い目で見れば『株分け』された後天性吸血鬼よりも『化ける』見込みがあり、純血種の中には、気の遠くなるようなスパンで遺伝子に『品種改良』を加えて、才能が花開くのを待っているものもいるらしい。
……何にせよ、多かれ少なかれ、『純血種』の遺伝情報を持っていなければ、この世界において吸血鬼化するのはありえないわけで……ということは、根性だけで600年生きているあの人って……ゲフゲフ……
本当は、『吸血鬼は何で死なないのか』という不死のカラクリまで書いてしまうつもりでしたが、4000字どころか7000字(!)を超えてしまったので、また次の機会に。
……というか、コレ、作者以外にまともに読んでいる人はいるのかしら……